【特別誌上レッスン④】ピアノでオーケストラを(基礎編)/(応用編)

石本育子先生特別誌上レッスン④

ピアノでオーケストラを(基礎編)連弾を楽しもう!!

兄弟姉妹でレッスンに来てくれている生徒さんも少なくありません。せっかくですからと連弾等二人以上のアンサンブルを楽しくしてもらっています。はるかさんとほのかさんもそういうお二人です。

ブラームス作曲ハンガリー舞曲第6番の連弾版を弾いている姉妹のレッスン。動画にもあるように、オーケストラ版を聴いてそれぞれが弾いている声部はどんな楽器が担当しているのか?を見て考えてくるのが課題。

(以下は動画後のレッスンです。)

石本:楽器を意識した後の演奏、どうだった?楽譜の見方、ピアノを弾く時の考え方を〈私の左右の手〉ではなくて(ユニゾンも含め)メロディ、バス、対旋律等で考えてみてほしいんだけど。

はるかさん(妹):オーケストラを聴いてから、楽譜の見方が少し変わった気がします。

ほのかさん(姉):私は中学校で吹奏楽をしているんですが、合奏している感じを思い出しました。

石本:そうね、ピアノを弾くときはどうしても「右手は何の音を弾いて左手は何の音を弾いて…」みたいに分けて考えがちだけど、それだと出てきた音楽が平面的で表情のないものになるよね。

はるかさん:よく聴くと同じ旋律を複数の楽器が弾いているのがわかり新鮮でした。

ほのかさん:私はsecondなんですが低音はコントラバスだけでなくティンパニ等の打楽器も一緒に鳴っていて左手のバス音は、強さや衝撃のような音も出す必要があるんだなあと気づきました。

(2人でやってみる)

2人:難しいけど面白い!!

石本:そうね。次は動画からだけでなくてスコアも研究してみましょう。もっと新しい発見がありますよ。


内藤晃先生特別誌上レッスン④

ピアノでオーケストラを(応用編)

内藤:今日はフランツ・リストがやっていたレッスンを再現してみよう。リストは、ベートーヴェンのシンフォニーをピアノに編曲しているけれど、それを使って、生徒にピアノで弦楽器や管楽器の質感を表現する練習をさせていたんだ。

Hさん:へぇ、すごいですね!

内藤:シンフォニーの7番の2楽章を使って、やってる。まず、冒頭。「ター、タッ、タッ、タァタァ」という旋律が出てくる。弦楽器がテヌート(ター)、スタッカート(タッタッ)、ポルタート(タァタァ)を奏でる。ボウイングが変わるよね。スタッカートでは弓を返す(デタッシェ)し、ポルタートでは同じ方向にひと弓でいく。これをピアノで弾き分けよう、というのがリストの課題なんだ。

【譜例1】

Hさん:♪ター、タッ、タッ、ター、ター

内藤:それだとポルタートじゃなくて普通にテヌートで弓返してるように聴こえるよ!

Hさん:え~っ…(試行錯誤)

内藤:それから、この楽章の最後。旋律がリレーのように違う楽器に受け継がれていくところ。メインで聴こえてる楽器は、フルート→クラリネット→ホルン→弦楽器のピチカート。これを弾き分けてみよう、という課題をリストが出している。

【譜例2】

Hさん:♪ター、タッ、タッ、ター、ター

内藤:ホルンはそんなに歯切れよくなるかな?

Hさん:えーっと…

内藤:管の長いホルンは、構造上、ほかの楽器よりも音のキレは鈍い感じ。だから、スタッカートをしても、少しだけ音価が長い感じになる。このことをリスト自身がレッスンで指摘しているんだ。

Hさん:すごーい…

内藤:ものまねタレントになったつもりで、各楽器の特徴、アタックの輪郭とか、音が出たあとの軌跡の感じを、ピアノで真似してみよう。音色は違うけれど、音のかたちは真似できるから、そうやってタッチの種類が増えていくと、オーケストラみたいな立体感が出てくるはず!

Hさん:がんばります!

内藤:作曲家自身がピアノ曲にもオーケストラ曲にもしているような作品を、ぜひ弾いてみてね。どこにどんな楽器をあてているかというオーケストレーションに、作曲家が作品にいだいていたイメージに近づくヒントが隠れてい

C.BECHSTEIN

リストやドビュッシー、ビューローなど偉大な音楽家に インスピレーションを与え続けてきた、世界の3大ピアノメーカーの1つ、 ベヒシュタイン。 そのパフォーマンス・芸術性について、ベヒシュタイン・ジャパンの スペシャリストが、公式サイトには載せない、ここだけの話しをお届けします。

0コメント

  • 1000 / 1000