【特別誌上レッスン②】次の和声を感じる (基礎編)/(応用編)

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石本育子先生 特別誌上レッスン②

次の和声を感じる (基礎編)

とてもよい感性をお持ちの大人の生徒Aさんがレッスンにいらっしゃいました。ご自身もベヒシュタインユーザーであり、ベヒシュタインで豊かな音楽を奏でることに喜びを感じてくださっています。

現在は月光の第1楽章を弾いていらっしゃいます。Aさん、月光第1楽章をステキな音色で弾き始めて7小節目まで弾いてきたのですが急にやり直されました。

石本:どうされました?

Aさん:実はここ大好きな箇所なのですが、感極まって弾いているとついガツンと音が出てしまって、がっかりしてしまうんです。

石本:なるほど。

Aさん:月光1楽章は大好きな箇所がそこかしこにあって、感動しながら弾いているんです。特に15小節目の「シレ♯ファ」から「シ♯レ♯ファ」の和音に変化するところにとても感激して、このたった半音の違いはなんて偉大なんだろうと。で、感激しすぎて次をミスってしまったりするんです(笑)

石本:Aさんはとても豊かな感性をお持ちで、ご自身の脳内にある音楽をベヒシュタインで充分に表現されていらっしゃいますね。時々ご自身が思ってもいない大きな音が出てしまってびっくりしてしまう、という場合も実は脳の指令の問題だと思います。ピアノを弾くとき、脳の働きはとても大事で、「音楽全体のイメージづくり」「弾いているときに次の音楽を思い浮かべる」「思い浮かべた音楽・音のイメージ通りに身体が間に合って動くように指令を出す」など、一度にたくさんのことをしています。その音を出す少し手前で、どのように身体を使ったら思ったとおりの音楽になるか?を一瞬で判断しなかればなりませんね。楽しみながら追究していってください。

Aさん:はい。以前先生が耳と神経を研ぎ澄ませて指先を鍵盤に置くようにとおっしゃっていたのがだんだんわかってきた気がします。もっともっと音楽を楽しんで弾いていけそうです。


内藤晃先生 特別紙上レッスン②

次の和声を感じる(応用編)

内藤:ここ(5小節目)はどこに転調した?

Rくん:Des-durです

内藤:Des-durはAs-durの…

Rくん:えーと…下属調

内藤:そうすると、もとのAs-durのときの心のテンションに比べると…

Rくん:リラックスする方向にいきます

内藤:やってみて!

Rくん:(悪戦苦闘)

内藤:もっと脳で先回りして感じて、すーっと緊張解けますよっていう指令を出さないと。新しい調性の景色が見えてくるのはどこ?

Rくん:Gesが出てくるとこ(4小節目)です

内藤:このGesですーっとDes-durの世界に連れていきたいよね。背中を後ろ方向に引っ張られるようにすっとゆるめてみて!

Rくん:(演奏)

内藤:そう、その感じ!背中が前傾でイケイケモードのままだと、テンションが高まりっぱなしになっちゃうよね。緊張解く方向のときは背中をリラックスさせたいんだけど、瞬時に反応してくれるものでもないから、そこに差し掛かる一瞬前に、次リラックスさせるぞって指令を脳で出すんだ。

Rくん:前もって次を感じていかないとですね

内藤:脳→身体→音色の回路をつくるのに、脳と指の時差に慣れないとね!

C.BECHSTEIN

リストやドビュッシー、ビューローなど偉大な音楽家に インスピレーションを与え続けてきた、世界の3大ピアノメーカーの1つ、 ベヒシュタイン。 そのパフォーマンス・芸術性について、ベヒシュタイン・ジャパンの スペシャリストが、公式サイトには載せない、ここだけの話しをお届けします。

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