【特別紙上レッスン①】耳で記憶する。/楽節構造ってなあに?

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石本育子先生 特別誌上レッスン①

耳で記憶する。

石本:さて今日はある曲を聴いてもらってそれがどんな曲なのか?聴いて覚えて弾いてもらうことにします。

Yちゃん:え~!

石本:大丈夫、簡単だよ。

~ 演奏(ツェルニー100番練習曲~13番終盤)~

Yちゃん:え~!わからん!

石本:ただ聴いてるだけではつかめないよ。何を聴くか!?が大事。1つヒントね。3/8拍子です。じゃあそれを元に『何小節でできているか?』『どんな形でできているか?』を考えよう。それがわかれば覚えやすいよ。

~ 演奏 ~

さてどんなことがわかったかな?何小節?何調かな?

Yちゃん:24小節!ドで終わるから・・・ハ長調やと思う!

石本:さあ、もう弾けるかな?できるだけ少なく弾いて聴けるのがいいよ。どうしたら少ない回数で全部わかるか、考えよう!

~ 演奏 ~

さてじゃあどんな形式になっているのかな?音楽の形が『ぶんぶんぶん』か『メリーさんの羊』か、はたまた『春が来た』か?どれだろう?」

Yちゃん:え~と『ぶんぶんぶん』みたい!でもはじめと終わりは少し違う!

石本:そうだね、何が違って何は同じなんだろう?そこ聴いてみよう。

~ 演奏2回 ~

Yちゃん:え~と、メロディの音が多くなって・・・多分・・・左手は同じ?

石本:よく聴けました!メロディの音が多くなっても聴けたかな?

Yちゃん:うん!あ、ちょっとわかったかも!?なんか~同じようなこと言ってるから歌いやすい気がする。

石本:じゃあ、意外に覚えやすかった?音のかたち、『音形』が同じなんだね。

Yちゃん: ~ 演奏 ~

石本:よかったよ!

Yちゃん:でも~なんかちょっと・・・左手が・・・違ってないように聞こえたんだけど、使ってる音同じなんだけど~なんかちょっと違う。気になるなあ。

石本:じゃあ、そこは次のレッスンで解説しよう!

(特別紙上レッスン②に続く)


内藤晃先生 特別誌上レッスン①

楽節構造ってなぁに?

内藤:Kくんは“文節”ってことば知ってる?

Kくん:国語で習いました!文章を“ネ”で分けるやつですね。

内藤:そう!意味のまとまりで区切った単位のこと。たとえば『ぼくは夕食後にピアノを練習します』って文だったら、『ぼくは/夕食後に/ピアノを/練習します』ってなる。僕らは日本人だからふだん文節なんか意識しないけど、英語の文を読むときなんかは、少し長い文になると、文節みたいな意味のまとまりごとにスラッシュ引いてくと読みやすくなるよね。

Kくん:カッコでくくりましょうとか、スラッシュ引きましょうとか、先生に言われます!

内藤:実は、音楽にも、文節みたいな意味のまとまりがあるんだ。楽節っていうんだけど。

Kくん:ガクセツ?

内藤:そう。それが曲のなかでどうなっているかを、楽節構造っていうんだ。だいたい4小節ずつ規則的に進行して、その小さなフレーズが8小節で大きなフレーズを形づくるんだけど、そうなっていない曲もあって。さっきのベートーヴェンの展開部は、6小節になったり、3小節になったりして不規則で、迷子になりやすいから気をつけて!英語の文も、区切りを間違うと、意味が伝わらなくなっちゃうよね。

Kくん:ほんとだ!4小節ずつの進行じゃないと、なんか半端な感じがします

内藤:そうそう!その“半端な感じ”大事にして!たとえば本来8小節でキリがいいはずのところが10小節かかってるとじらされるし、6小節で次行っちゃうとフライングっぽいよね。それって作曲家が狙ってることだから、まとまりはまとまりとして読んであげる感覚で弾くと、不整脈っぽい感じが出て面白くなるよ!

Kくん:…むずかしいですね!どうしても今弾いてるところに夢中になっちゃいます。

内藤:みんなそうなんだよね…。あらかじめ全体像を思い描いて、今のフレーズがどこまで行くか、その行き先まで見てみよう!そして、脳の中では、今弾いてるとこよりも一歩先を感じながら身体をリードしていけるといいよね。

(特別紙上レッスン②に続く)

C.BECHSTEIN

リストやドビュッシー、ビューローなど偉大な音楽家に インスピレーションを与え続けてきた、世界の3大ピアノメーカーの1つ、 ベヒシュタイン。 そのパフォーマンス・芸術性について、ベヒシュタイン・ジャパンの スペシャリストが、公式サイトには載せない、ここだけの話しをお届けします。

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